EXHIBITION

佐村憲一茶道具展「森のおと」

2018年5月17日(木)〜6月30日(土)

 

2011年4月 “野に遊ぶ” をテーマに那須の地においてお茶会を催すこととなった。ならば新たに茶道具は出来るかぎり現地で採取した材料にて製作使用したいと思い立ち、1年半に渡り4万2千坪の自然のなかを散策。木の切株、小枝、家屋素材等を収集製作に至った。切り倒した植物は一切なく、それは全て足元に横たわっているいずれ土へ帰ろうとするものたちとの楽しい出会いであった。

しかし製作終了後、3.11震災のため全てがキャンセル。2018 年、7年後再びに同じ地を同じテンポで歩き、新たな出会いがあった。

露でぬれた土の上で出会った植物の種。その後その種たちは太陽を浴び、爆竹のごときすざまじい音を立ててハジけ飛び散り周りに種を蒔きちらすという自然界の生命力をみせつけてくれた。
そこには見事な “森のおと” があった。
7年の歳月を経て初めてのお披露目となる茶道具たち。

新たなものも加わり、やや茶道具としては不向きなものもありますが野に遊ぶ気分でご覧いただければ幸いです。

 


佐村憲一

1948年山口県生まれ グラフィック・デザイナー
田中一光デザイン室を経てナンバーワン・デザイン・オフィスを設立
伊丹十三監督全10作品のグラフィックデザイン担当
NAOC 長野オリンピック公式写真集アート・ディレクター
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科元非常勤講師
佐賀インターナショナル・バルーンフェスタ、アートディレクター(~2016)
東京アートディレクターズ・クラブ賞/造本装丁コンクール文部大臣賞/毎日広告デザイン賞
全国映画ポスター賞最優秀賞/日本グラフィック展銀賞/日本印刷産業連合会会長賞/他
「野に遊ぶ 展」(ギャラリー册)/「小竹刀展 第1回・第2回」「竹々展」(銀座・阿曾美術)
「石の家展」「竹のモノ展」(ヨーガンレール本社)著書「般若心経」「一流ブランド品の科学」

 

展示販売作品
花入/茶杓/茶器/水指/茶碗/菓子器/菓子切 他 800円(税別)より

 


関連イベント
佐村憲一による茶杓削りワークショップ

5月19日(土)、6月23日(土)13:30〜17:00  
ティー・お茶菓子付 10,000 円
要予約/道具・材料は全て会場にて準備いたします。

 

REPORT

茶杓削りワークショップ

佐村憲一茶道具展「森のおと」関連イベント「茶杓削りワークショップ」の第二回目が、6月23日(土)終了しました。このワークショップは、グラフィックデザイナーである佐村憲一さんの指導により茶杓を制作するもので、随所にデザイナーらしい視点が感じられる、ユニークなワークショップとなりました。

 

ワークショップはまずは素材選びから始まります。材料の煤竹は、農家の囲炉裏の上で長い年月をかけて燻された、今では入手不可能な貴重なもの。長年の間に乾燥してしまっているので、茶杓を削る際には事前に一週間以上水に漬け、水分を含ませておくそうです。様々な表情を持つ竹を選んだあとは、見本となる茶杓を参考に大体の寸法を決め、鉛筆で印をつけます。その印をたよりに、ろうそくの炎で慎重に竹を曲げていきます。「曲がれ、曲がれと念を送りながら曲げるんです」という先生の冗談に笑いながらも、皆さんの表情は真剣そのもの。ある程度曲がったら水に漬けて冷やし、燃えないようにしながらゆっくりと曲げていきます。

 

ある程度の形が出来たら煤を拭きとり、いよいよ削っていきます。手元の方は細く、先端部分の抹茶を掬う「櫂先」の方は広めに幅を取りながら、小刀で削っていくとだんだん茶杓の形が見えてきます。言葉もなく、無心に茶杓を削っていく作業には、何か精神修行のような雰囲気も漂います。

 

小刀を駆使しながら厚みを調整し、紙やすりで滑らかに裏面を整え、ようやく茶杓が出来上がりました。その後、お茶とお菓子を楽しみながら、茶杓の銘を考え、それぞれの茶杓を拝見します。「茶杓には不思議とその人の体型やイメージなど、個性が自然と現れてくるんです」という先生のお話のように、参加者の皆さんはそれぞれ自分らしい一杓を作り上げられていました。美しい和紙の折り型に包まれた茶杓は、日々の一服やお茶会などで、話題の中心となることでしょう。

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