横山玄太郎「SOFT TOUCH」

2019年5月7日(火)〜6月1日(土)

 

ギャラリー册では、2019年5月7日(火)〜6月1日(土)まで、横山玄太郎「SOFT TOUCH」展を開催いたします。

「アーティスト・イン・レジデンスプログラム2018」の参加アーティストとして、アートビオトープ那須で2018年10月2日~11月19日まで滞在制作を行った陶芸家・横山玄太郎さん。
アートビオトープ那須では、2006年よりAIRプログラムを実施し、これまで国内外の様々なジャンルのアーティストを招聘してきました。
「AIRプログラム2018」は株式会社タカラレーベンによるご協賛を受け、フランス、サラエボ、カナダ、日本から計5名のアーティストが滞在制作を行いました。
本展覧会はその成果発表プログラムの一つとして企画されたものです。陶芸とは思えない柔らかさを表現した横山さんの新作をぜひご高覧ください。

協賛:株式会社タカラレーベン

 

展覧会フライヤーはこちら

 


オープニングパーティ 2019年5月7日(火)18:00~

 


関連企画 
ARTIST WORKSHOP 「作家とともに遊んでみたい!」

展示にちなんで、会期中にアーティストによるワークショップを開催します。今回は本と遊ぶ、ギャラリー册の本を眺めながら、お気に入りの本をイメージしながら、読書時間を豊かにしてくれるオリジナル のブックマークを制作します。

開催日時:5月18日(土)15:00~18:00
参加費: 4,000円

 


展覧会に寄せて
「幽玄(ユーゲニズム)」なるポップ ── 横山玄太郎の新しい陶器

空気清冽な那須の地に、陶芸とガラスの工房を併設した、自由でクリエイティヴなステイを提供する「文化リゾート」=芸術道場である「アート・ビオトープ那須」を、北山ひとみさん美優さん母娘と僕らが、開いてもう十数年になるだろうか。
現在その場を北山さんたちは、新しいライフ・スタイルを提案する企業、タカラレーベンと共同で営んでいる。若手作家の制作支援たる「アーティスト・イン・レジデンス」で、昨秋、新鋭作家、横山玄太郎が滞在制作した。今回その新作発表を、「アート・ビオトープ那須」の東京における情報発信拠点、ギャラリー冊で開催することになった。
題して、「SOFT TOUCH」。

横山は、彼の作品スタイルの自在さそのままに、ユニークな、アメリカ的教育から羽ばたいた、独学的有望株で、何より本人の優れた、舞踊家のようなスピーディーで軽やかな身体性を縦横に駆使した仕事が、注目を集めてきた。
横山「玄ちゃん」(と、僕ら親しい者は呼んでいるが)は、これまでにも、僕らが開く春や夏の自由学校「山のシューレ」などの折、ふらりと現れては、土を捏ね、ガラスを吹いて、自由に気ままに自作に遊んでいた。
それを傍で見ていて、「若い世代は、技術の習得も速いし、巧いし、羨ましいなあ」とも思い、アメリカ仕込みのスピード感あふれる腕に、舌を巻いた。
またそうした彼の姿は、僕らの世代の旗手でもある、現代吹きガラスの第一人者で、那須にもワークショップによく来てくれる、ガラス作家、高橋禎彦の軽やかで颯爽とした姿にも、重なったものだ。
今回の「SOFT TOUCH」には、僕は、こじつける訳ではなく、彼の素地となった、アメリカ的ジャズの身体感覚、ポップの音楽感覚、あるいは、ジャスパー・ジョーンズの「ネオ・ダダ」的絵画や、ロイ・リキテンスタインの「コミック・ストリップ(四コマ漫画)」的印刷ドット絵画、マクドナルドのハンバーガーを立体化したような、ジェームズ・ローゼンクイストの仕事、そういう60年代ポップ・アートの空気的残響というか、再復活の息吹が、きこえて来るようだった。
それは特に今回、自ら銘打っている「SOFT TOUCH」的部分、つまり、溶け出したような、今にも流れ落ちるような、エポキシ樹脂かFRPのような、ソフト・スカルプチャー的なものを、焼き物に貼付けたりもしている複合技法に、よりよく見てとれるのではないだろうか。
またそれは、彼が秘かに得意とする「吹きガラス」のジャズ的運動感にも、通底しているようだ。ある尊敬するガラス作家は、かつて、「アメリカにおけるスタジオ・ガラス運動の底には、自由で対抗文化的な、ヒッピー文化の思想的根があった」と書いたが、僕は、そのことをも思い出していた。(註)

ところが、実は、横山(玄ちゃん)は、若手新鋭ではあるのだが、ちょっとこの前の時期、さかんに、抹茶茶碗を試行錯誤していた時代があった。僕らは、それら、スパリと刃物で面取りしたような思い切りの良いシャープな器形やら、そこに着せられた明るい、それこそポップな色調の釉薬に、その都度驚き、感嘆したものだった。
そこから今回、スパリと作風を変えたのか、というと、僕はそうも思わない。やはり、彼の持っている、謂わば、ちょっとシャイで、「もののあはれ」的な、現代の若者にも潜んでいるだろう、日本的無常観とでもいうものは、ちゃんと継承されていて、また別の方向で深まってもいるように、今回感じられたのであった。
そこでふと思い出したのは、昔僕が学芸員として長く勤めていた西武(セゾン)美術館でも、知られざる作家として没後紹介された、戦後アメリカで、日本的な「もののあはれ」的絵画を追求して、活躍した画家、岡田謙三のことだ。
彼はたしか、自らの画風を、「幽玄」=ユーゲニズム、と名付けていたと記憶する。
彼の名前「玄」は、陰陽五行でいうところの、黒、つまり「玄武」の玄であるはずで、だからからか、今回も、「玄」ちゃんのポップには、きちんと、黒や白の、特に黒の、モノトーンの世界(ブラック・ユーモア的なものも)が底に潜んでいるのである。

「オモシロくて、やがてカナシキ」?かどうかはよく分からないが、玄ちゃん(これも、幽玄の玄には違いないから、その名の由来も、僕らも存じ上げている著名な美術関係者でもあるお父君にいつかきいてみなくてはならない)も、その並外れて優れた感受性で、今回、現代の「ユーゲニズム」を、逆輸入のかたちで、新たに現してくれたのだ、と賞賛をおくりたい。

(註)畏敬する、齋藤昭嘉先生のこと。

復活節第三週に。

── 新見隆(武蔵野美術大学教授、大分県立美術館顧問、二期リゾート文化顧問)

 


アーティスト・イン・レジデンスプログラムとは?

「AIR(アーティスト・イン・レジデンス)プログラム」とは、長期滞在制作のための環境を提供することで若手アーティストを支援するアートプログラムです。アーティストは1ヶ月~2ヶ月の滞在期間中、周囲の環境や人々との交流を通じて、制作のための新たなインスピレーションを獲得し、作品を作り上げていきます。アートビオトープ那須では、2006年よりAIRプログラムを実施し、これまで国内外の様々なジャンルのアーティストを招聘してきました。
「AIRプログラム2018」は株式会社タカラレーベンによるご協賛を受け、フランス、サラエボ、カナダ、日本から計5名のアーティストが滞在制作を行いました。本展覧会はその成果発表プログラムの一つとして企画されたものです。

 


株式会社タカラレーベンについて

「幸せを考える。幸せをつくる。」を企業ビジョンに、「感動する心、誠実な姿勢、実行する力」を企業ミッションに据え、自社企画新築分譲マンションをメイングランドに、賃貸事業、メガソーラー事業など数々の事業を展開。人と暮らしの幸せについて誰よりも真剣に考え、ひとつひとつの夢をかたちにした住まい作りを実現すること、そして地域、社会の幸せ、人について深く考え、すべての人が安心して暮らせる街作りに貢献し、地球にやさしい持続的な環境づくりを提案することを図っています。

www.leben.co.jp

 

 

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